大萩康司 プロデュース 「ギターと声」 Vol.1 〜ギターが紡ぐ美しき日本のことば〜 Guitar & Voice

息の合ったデュオが織り成す繊細なニュアンス

 歌とギターによるデュオは数あれど、コンサートのタイトルを見て「ん?」と思わせてくれ、じっくりと歌の素晴らしさが味わえる選曲に感嘆し、独特の落ち着いた雰囲気で聴き手を包んでくれるコンサートは満足感が高い。東京・渋谷のHakuju Hallで5月からスタートするシリーズ「ギターと声」(なんというシンプルでド・ストライクなタイトル!)は、ギタリストの大萩康司がプロデュースする全3回のシリーズ。このホールの夏フェスとも言える『ギター・フェスタ』などにも出演し、ホールの響きを熟知している大萩だが、だからこそのオリジナル企画に期待してしまうのだ。
 第1回のゲストに迎えるのは、メゾソプラノの林美智子。Hakuju Hallでこの2人といえば、2008年の秋に行われた「おはぎとおみち」をはじめ、ガラ・コンサートやロビー・コンサートなども合わせると共演は多数。まさに「息の合った」デュオが今回のコンサートで取り上げるのは、日本語のさまざまな形をメロディに乗せて歌われる歌曲たちだ。別宮貞雄、山田耕筰、中田喜直、そして2人が共演したCDやコンサートも好評だった武満徹。約300席という空間だからこそ伝わる繊細なニュアンスが、このシリーズならではの“宝物”かもしれない。それゆえに2人が表現できる世界もあるのだから。コンサートの前半には大萩のソロによる日本のギター作品も4曲。じっと耳を澄ませて、空気の振動さえも聴きたい一夜だ。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年4月号から)

5/22(金)19:00 Hakuju Hall
問:Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 
http://www.hakujuhall.jp