名歌手としての“自負”を感じさせる選曲
輝かしい響きに哀愁を漂わせる表現力豊かな声、理知的な音楽解釈によって多くの聴衆の心を掴むテノール、クリストフ・プレガルディエンが、繊細な表現を武器とするミヒャエル・ゲース(ピアノ)と共に、トッパンホールで2夜にわたるリサイタルを開催する。第1夜は、演奏者に詩の深遠な世界を読み取る力を極限まで求めるマーラーの2つの傑作歌曲集「さすらう若人の歌」と「子供の魔法の角笛」、そして現代作曲家キルマイヤーの、ヘルダーリンの詩による歌曲集。マーラーは勿論だが、多くの芸術家に多大な影響を与えたヘルダーリンの詩の世界を描き出す、キルマイヤーの洗練された音楽にも期待大。第2夜はゲーテの詩をテーマに、シューベルトやレーヴェ、グリーグに至る多彩な作曲家が並ぶ。個性豊かな作品を味わいつつ、シューベルトとヴォルフの「ガニュメデス」など、同じ詩へのアプローチの差異も楽しめるまたとない機会を、心ゆくまで堪能してほしい。
文:長井進之介
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年5月号から)
第1夜 5/13(水)19:00
第2夜 5/15(金)19:00
トッパンホール
問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
http://www.toppanhall.com