ゲルギエフ マリインスキー劇場記者会見

  マリインスキー歌劇場管弦楽団と来日中の指揮者ワレリー・ゲルギエフが11月14日(水)、東京の帝国ホテルにて記者会見を行った。

 2012/13シーズンはゲルギエフの芸術監督就任25周年にあたる。就任当時を振り返り、当時の思いを語った。
 
 「劇場にとって一番恐ろしいことは、尊厳を失うことです。そして、失われた尊厳を取り戻すことが、大きな喜びとなるのです。芸術監督に就任した時、まだロシアは混乱した状況下にあり、私は劇場の評判を落としてしまうのではないかと心配しました。しかし、この数年をみると、多くの歌手が世界中で歌い、多くのバレエダンサーが世界に羽ばたいています。間もなくバレエ公演が始まりますがコンダウーロワ、スコーリク、シクリャローフ、アスケロフなど、みな素晴らしいダンサーたちです。オーケストラも世界各地で演奏しています。私は誇りをもって、尊厳を取り戻し、世界に広めることができたと思っています」
 
 2013年5月初旬には、新しいマリインスキー劇場(マリインスキー?。客席数:2000)がオープンする。新しい劇場を建設するのは、未来への投資だ。
 
「これは未来への投資です。子供たち、学生たちが劇場に興味をもつようにしていきたい。そのために、子供たちに向けてのイベントなども考えていますし、子供たちにとても人気のある《くるみ割り人形》も年間50〜70回程度上演できる劇場になっています」
 
 「子供たち、学生たちの、芸術や音楽に対する愛情を育てていってほしいのです。このことは、私たちの一番の課題だと思います。ロシア各地で演奏会を行う時、夜の通常のコンサート以外に必ず、子供たちに聴いてもらえるためのコンサートを1時間もうけてもらえるようにお願いしています」
 
 2009年に立ち上げられた自主レコードレーベル「MARIINSKY(マリインスキー・レーベル)」についての説明もあった。
 
 「大がかりなプロジェクトは資金面や労力の問題などでなかなか困難ですが、今年末リリースする《ワルキューレ》を足がかりに、2014年に完結する《ニーベルングの指輪》全作録音を予定しています。ヨナス・カウフマンなど世界的なスター歌手がそろっています。ワーグナーファンだけでなく、世界中の音楽ファンが納得してくれるものになると確信しています。まもなく、ショスタコーヴィチの交響曲第7番がリリースされますが、非常に生々しく素晴らしい出来になっています。ショスタコーヴィチの交響曲全曲録音も来年完結します」
 
 マリインスキー歌劇場管弦楽団は、ワレリー・ゲルギエフとのツアーの後、15日(木)から12月2日(日)まで、マリインスキー・バレエ(キーロフ・バレエ)公演に臨む。
 
マリインスキー・バレエ 日本公演
 
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