【CD】イタリアのチェロソナタを集めて/山本徹

 すでに多くのピリオド楽器アンサンブルやオーケストラで活躍している山本徹、待望の初ソロ・アルバムだ。まずプログラムが素晴らしい。D.ガブリエッリに始まりランゼッティに終わる、チェロ音楽草創期のイタリア・バロック名曲集。あの名手アンナー・ビルスマの最初期録音もそうだった。ラプソディックなガブリエッリのソナタから、ヴィヴァルディやカルダーラのバロックど真ん中を経て、古典派の入口へ。山本のチェロはガット弦の生々しい質感を生かし、時に荒々しいまでに強いアタックで楽曲を活気づける。通奏低音も好サポート。今まさに原木から掘り出される、チェロ音楽の初期形態だ。
文:矢澤孝樹
(ぶらあぼ2024年11月号より)

【information】
CD『イタリアのチェロソナタを集めて/山本徹』

ドメニコ=ガブリエッリ:チェロソナタ ト長調/ヴィヴァルディ:チェロソナタ イ短調/カルダーラ:チェロソナタ第13番 ヘ短調/ペルゴレージ:シンフォニア ヘ長調/ランゼッティ:チェロソナタ 嬰ヘ短調 他

山本徹 野津真亮(バロックチェロ)
上尾直毅(チェンバロ)

ナミ・レコード
WWCC-8017 ¥3300(税込)