[小耳大耳]京都府立府民ホール“アルティ”が《ALTI芸術劇場》シリーズを開催

 開館25周年を迎えた京都府立府民ホール“アルティ”は、今秋から主催公演の一部を新機軸の《ALTI芸術劇場》としてスタートさせる。質の高い芸術作品の提供と独自の“おもてなし”、そして周囲の環境や商業施設とのタイアップなどを通じて、ホールに足を運ぶこと自体を楽しくするのが主要コンセプト。6月4日に行われた発表会見では、第1弾となるオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)公演を指揮する音楽監督の井上道義が「今はホール自体がイニシアティヴをとる時代。大いに期待している」とエールを送った。
「『あそこに行けば、常に何か面白いことをやっている』と思わせる、存在感あるホールを目指したい」と下田元美・同ホール館長。特に“おもてなし”の具体的内容として、公演前のゲスト・トークや終演後のドリンク・サービス、グッズが当たる抽選会の実施、茶室での呈茶などを挙げた。もちろん、公演内容もより魅力的に。9月2日のOEK公演では、ホールの可動式舞台を存分に生かし、会場全体をおもちゃ箱に見立てた大胆な演出で、シチェドリン「カルメン」などを演奏する。
 9月には新イタリア合奏団とフルートの名手アンドレア・グリミネッリ、12月の京都アルティ弦楽四重奏団の公演、さらに来年1月にはロンドン・グローブ座で公演した京都の劇団「地点」がシェイクスピア劇《コリオレイナス》を5日間にわたって上演。「これからは公演ごとの良し悪しではなく、ホール自体が何かを問いかけて行くべき。それがなければホールは廃れる」と井上は熱く語った。(取材・文:寺西 肇)
京都府立府民ホール“アルティ”HP