期待のソプラノ・砂田愛梨がドニゼッティのラブコメディ・オペラで魅せる

©Edio Bison

 毎年好評なNISSAY OPERAシリーズ、今年はドニゼッティのフランス・オペラ《連隊の娘》(新制作)が上演される。笑いと哀愁が絶妙にミックスされた最高に楽しい作品だ。一般の観客向けと中高生のための鑑賞教室、合わせて5公演があり、2組のキャストはオーディションで選ばれる。初日組で題名役のマリーを歌うイタリア在住のソプラノ、砂田愛梨に話を聞いた。

 「NISSAY OPERAのオーディションのことは前から知っていました。今回、粟國淳さん演出、原田慶太楼さん指揮、そして演目が《連隊の娘》ということでピンときて、ぜひやりたいと応募しました。

 私の声にはベルカントの、ドニゼッティのブッファなどのレパートリーが一番合っています。コンクールでもよく取り上げてきましたし、《ドン・パスクワーレ》のノリーナはイタリアの歌劇場でも歌っています。オーディションでは粟國さんや皆さんがポーカーフェイスで反応が分かりませんでしたが(笑)、役柄も合っていたのか、よい雰囲気は感じられました」

 イタリアでめぐりあった師、名歌手ルチアーナ・セッラの教えを大事にしているという。

 「セッラ先生のもとで5、6年ほど勉強しました。レッスンには色々な曲を持っていきますが、彼女からは『あなたはやはりドニゼッティを極めなさい』と言われて。同じベルカントの作曲家でも、ベッリーニとは様式が少し違うんです。ドニゼッティのスタイルから少しでも離れると、セッラ先生からは『外れている』『やりすぎる』と厳しく言われました。その後、《蝶々夫人》からロッシーニ《チェネレントラ》まで、色々な役を歌う機会がありましたが、自分のレパートリーはやはりドニゼッティ、そしてピンポイントで言えば喜劇なのかな、と思っています」

 《連隊の娘》は、ナポレオン戦争の時代、幼い頃から連隊に育てられたマリーが美しい娘に成長し、村の青年トニオと恋に落ちる、だが彼女は貴族の令嬢だったことが分かり…というストーリー。

 「軍隊という男だけの世界で育てられたマリー。彼らから受け継いだ力強さ、芯の強さのようなものがある女の子だと思います。粟國さんがどう演出されるのか楽しみです。音楽的にはトニオが歌う(ハイCが連続する)有名なアリア、マリーのアリア、そして父親代わりの軍曹シュルピスとの荒っぽい言葉遣いの愉快な二重唱など、“爽快で華やか!”な曲ばかり。セリフが入った音楽劇ですし、気楽に、楽しい雰囲気で聴いていただければ嬉しいです」
取材・文:井内美香
(ぶらあぼ2024年10月号より)

NISSAY OPERA 2024 ドニゼッティ《連隊の娘》新制作
(全2幕/原語[フランス語]上演・日本語字幕付)
2024.11/9 (土)、11/10 (日)各日14:00 日生劇場
問:日生劇場03-3503-3111
https://opera.nissaytheatre.or.jp
※砂田愛梨は11月9日に出演。配役などの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。