ドイツ人の両親のもとイタリアに生まれながら19歳で渡米し、2014年に同国の国籍を取得したハーデリヒが、室内楽に長けたアメリカの名ピアニストと共に、19世紀終盤〜21世紀のアメリカのヴァイオリン音楽を収録したアルバム。有名作曲家と一般に知られていない作曲家の作品を並列した多彩な選曲と周到な構成、そして高度にして自在のテクニックで、ヴァイオリン音楽の新たな世界へと誘ってくれる。中でも、日本の伝説等に基づくハートキの「根付」は様々な技法が駆使された興味深い作品だし、アンコール的な短い楽曲の数々も実に愉しい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2024年10月号より)
【information】
CD『アメリカン・ロード・トリップ/アウグスティン・ハーデリヒ&オライオン・ワイス』
エイミー・ビーチ:ロマンス/アイヴズ:ヴァイオリン・ソナタ第4番「キャンプの集いの子供の日」/スティーヴン・ハートキ:根付/エディ・サウス:ブラック・ジプシー/ジョン・アダムズ:ロード・ムーヴィーズ/コープランド:ホー・ダウン 他
アウグスティン・ハーデリヒ(ヴァイオリン)
オライオン・ワイス(ピアノ)
ワーナーミュージック・ジャパン
2173.228790 ¥オープン価格