透徹したタッチが生み出すベートーヴェン後期ソナタの深遠
ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール優勝などの実績を持ち、知性派ピアニストとして知られるアレクサンダー・コブリンが、広島の三次市民ホールきりりにて、ベートーヴェンの傑作、最後の3つのピアノ・ソナタ、第30番から第32番を演奏する。
彼は、昨年9月から今年5月にかけ、後進の指導にあたっているニューヨークのロチェスター大学イーストマン音楽学校でベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏会を実施した。この演奏会は全てYouTubeにて公開されている。近年はShigeru Kawaiのピアノを使用した全曲録音も順次進めており、Vol.1にあたる第1番から第8番「悲愴」までが配信されている。これらの映像や音源を聴いて驚かされるのは、コンクールに挑戦していた約20年前よりも、彼が奏でる音はさらにみずみずしさが増し、テクニックも磨きがかかっていることだ。このプロジェクトの「結論」にあたる後期三大ソナタが披露される来日公演。ぜひとも彼の息遣いが感じられる場で聴こうではないか。
文:多田純一
(ぶらあぼ2024年9月号より)
2024.10/27(日)14:00 広島/三次市民ホールきりり
問:三次市民ホールきりり0824-62-2222
https://www.kiriri.org