ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲全曲演奏会2014-2018 古典四重奏団 ショスタコーヴィチの自画像Ⅱ

20世紀の大作曲家の素顔に迫る

©F.Fujimoto
©F.Fujimoto
 弦楽四重奏という形態の限界を追求し続ける古典四重奏団が、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏全15曲の高峰に挑む『ショスタコーヴィチの自画像』シリーズ。2014年から18年まで、毎年番号順に3曲ずつ丹念に取り組むことで20世紀の大作曲家の素顔に迫ろうというプロジェクトで、第2回の今年は第4番〜第6番を取り上げる。
 今回の3曲は作曲者43歳〜50歳の時期の作品で、情感豊かな旋律にユダヤ音楽の響きが絡む第4番、シンフォニックで劇的な大作の第5番、アルカイックで清澄な美しさが際立つ第6番と、各曲個性的な名品ぞろい。いずれも古典的な枠組みを持ち、最後はモレンド(だんだん遅く、消え入るように)の指示で静かに終わるという共通点がある。また、3曲セットの流れも面白く、明朗なニ長調で始まる第4番から緊張感あふれる第5番を経ることで、第6番の最後にたどりつくト長調の和音はより深く感動的に響くはず。
 古典四重奏団といえば、どんな複雑な作品でも暗譜で演奏することで知られるが、その高い集中力で、隙のないアンサンブル、完璧なハーモニーを実現し、作品の本質をつかみ出していく。20世紀作品も驚異的な水準の演奏で成功を収めてきた彼らは、過去にもショスタコーヴィチ作品をとりあげているが、本シリーズは5年もの時間をかけて演奏会を毎年2回ずつ行い、全曲CDも完成させる予定で、その意気込みは推して知るべし。室内楽とショスタコーヴィチを愛好する人であれば、その場に立ち会わない手はない。
文:林 昌英
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)

3/15(日)15:00 松明堂音楽ホール(発売中)
6/17(水)19:15 近江楽堂(東京オペラシティ3F) 4/8(水)発売
問 ビーフラット・ミュージックプロデュース03-6908-8977 
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