ジョン・健・ヌッツォ in 紀尾井ホール デビュー15周年リサイタル

節目の年のベルカント

 テノールのジョン・健・ヌッツォは、2000年にオペラの殿堂、ウィーン国立歌劇場とテノール歌手として専属契約を結んでデビューした。その後、ウィーン・フォルクスオーパーや夏のザルツブルク音楽祭にも出演し、ジェームズ・レヴァインの招きでメトロポリタン歌劇場にも出演を果たすなど海外での存在を確立。国内ではジョイント・コンサートなどの幅広い分野でその美声を披露。NHK紅白歌合戦への出場や大河ドラマ『新選組!』のオープニング・テーマも担当し、お茶の間での人気も集めた。近年は高齢者施設や社会福祉施設のためのチャリティ・コンサートや震災の復興支援などの活動にも熱心で、国内制作のオペラ公演への出演も増え、ファンの期待も高まっている。
 そんな絶好のタイミングで自身の節目となる2015年最初のリサイタルとなるのが今回の紀尾井ホールでの公演だ。元々、モーツァルト・オペラの甘くて清らかなテノール役のようなリリックな声に定評のあった彼。現時点で判明しているプログラムにもデュパルクの〈フィディレ〉やマスネの〈エレジー〉らフランス歌曲からベートーヴェンの〈アデライーデ〉が並んでおり、その健在ぶりを示している。また過去にリリースしたアルバムにも収録されていた米国の現代音楽作家ジョン・デュークの連作歌曲〈スリー・チャイニーズ・ラブ・リリック〉がとりあげられているのも期待。加えて人気ヴァイオリニストの松本蘭がゲストとして参加予定なのでこの共演も楽しみにしたい。
文:東端哲也
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)

3/17(火)19:00 紀尾井ホール
問:アスペン03-5467-0081 
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