新国立劇場の新制作オペラ《マノン・レスコー》GPレポート

 9日(月)から新国立劇場2014-15シーズン新制作オペラ、プッチーニ《マノン・レスコー》が開幕する。2011年の公演中止から4年、幻となった公演の復活上演とあって、初日を待ち望んでいる人も多いだろう。開幕を目前に控えた7日(土)、GP(最終総稽古)が行われた。
(取材・文:梅原志歩 撮影:寺司正彦 写真提供:新国立劇場)

 《マノン》は、盲目な愛ゆえに身を滅ぼすマノンとデ・グリューの悲劇的な姿を描いた、プッチーニの出世作。プッチーニは原作の物語の流れを重視するよりも、主人公である二人の愛と、その内面的な揺れに焦点を当てることを選んだ。
 そんな作曲者の狙いを忠実に再現したのは、演出家のジルベール・デフロ。昨年5月に上演された《カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師》の演出を手掛けたことが記憶に新しい。
 今回は白を基調に、装飾的な要素を一切排したシンプルな舞台。その中で、色彩・遠近(人物の配置)・動静のコントラストを巧みに使用することで、主人公二人の感情の交差が周囲の世界から切り離されクローズアップされる。一方、舞台全体として見れば、絵画のように調和がとれていて、どの場面をとってみても美しい。オペラファンならずとも一見の価値あり!

 タイトルロールを演じるのは、スヴェトラ・ヴァッシレヴァ。ブルガリア出身の歌姫は、これまでもプッチーニのヒロイン役を十八番としてきた。「こんなマノンだったら、いくら弄ばれてもいい!」と思えるような美貌を兼ね備えた彼女が、少女らしいアリアから最終幕の鬼気迫るアリアまでをどのように歌い分けるのか、本番でも注目が集まるところ。デ・グリューは、同じくデフロ演出の《道化師》でカニオ役を務めたグスターヴォ・ポルタが演じる。アルゼンチン出身で抒情的で劇的な表現を必要とする役柄に特に定評がある。「舞台では、感情と歌唱と演技とを調和させていかなければなりません」(新国立劇場HPのインタビューより)と語る彼の歌唱と演技は、情熱的でありながらも節度があるのも魅力。

 GPでありながら、客席からは「ブラヴォー(ブラヴィー)!」の歓声が寄せられ、本番の熱気を期待させるものだった。



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■新国立劇場2014/2015シーズン
プッチーニ/オペラ《マノン・レスコー》
Manon Lescaut/Giacomo Puccini
全4幕〈イタリア語上演/字幕付〉
2015年3月9日(月)7:00 12日(木)7:00  15日(日)2:00  18日(水)2:00  21日(土・祝)2:00 
オペラパレス

【指揮】ピエール・ジョルジョ・モランディ
【演出】ジルベール・デフロ

【マノン・レスコー】スヴェトラ・ヴァッシレヴァ
【デ・グリュー】グスターヴォ・ポルタ
【レスコー】ダリボール・イェニス
【ジェロント】妻屋秀和
【エドモンド】望月哲也
【旅籠屋の主人】鹿野由之
【舞踏教師】羽山晃生
【音楽家】井坂惠
【軍曹】大塚博章
【点灯夫】松浦健
【海軍司令官】森口賢二

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団

S27,000円 A21,600円 B15,120円 C8,640円 D5,400円
問:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999

新国立劇場 http://www.nntt.jac.go.jp/opera/