現在進行形の音楽の諸相を俯瞰する
2024年度のアンサンブル・ノマド定期は「ダイバーシティ・多様性」をテーマに掲げた。その第1回は「世界の眺望」と題し、東西から多彩な音楽を届けてくれる。日本からは坂田直樹のエレキギターを用いた新作、福士則夫作品。続いてラテンに移り、イタリアのガブリエレ・マンカとスペインのガブリエル・エルコレカの2曲の日本初演、さらにハンガリー系の家庭に生まれたリゲティ、最後に中国から余铸恩の作品が演奏される。どれも論理的な思考に裏打ちされながら、遊び心を失わず、感覚の歓びを与えてくれる作品だという。
ジャジーな気分からアンティークな雰囲気までリズミカルに千変万化するリゲティのピアノ協奏曲の独奏を務めるのは、現代ものに定評のある田中翔一朗。坂田作品のエレキギター独奏・山田岳とともに独奏陣も豪華。余の「海底から昇りて、天に触れん」は2023年に中国・成都で行われた作曲コンクールの優勝曲で、本選の演奏を担当したのがノマドだった。今回は改訂を施した新バージョンのお披露目となる。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2024年6月号より)
2024.6/28(金)18:45
東京オペラシティ リサイタルホール
問:キーノート0422-44-1165
https://www.ensemble-nomad.com