【CD】スクリャービン&スカルラッティ:ピアノ作品集/ユリウス・アザル

 フランクフルト出身のユリウス・アザルは1997年生まれ。本作はグラモフォンからのデビュー盤で、スカルラッティとスクリャービンの作品集である。イタリア・バロックとロシア後期ロマン派という、時代も国も様式もかけ離れた2人の作曲家のソナタを結ぶコンセプトもさることながら、全体に非常に繊細な音色で編み込まれ、一貫して独特の抒情性を滲ませる表現力にも驚かされる。予備知識なく聴いても、新星のクリエイティヴィティに心掴まれるが、アザルが映画『インセプション』に触発されていることを明かす前島秀国氏のライナーノーツの内容にも注目だ。 
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2024年6月号より)

【information】
CD『スクリャービン&スカルラッティ:ピアノ作品集/ユリウス・アザル』

スクリャービン:ピアノ・ソナタ第1番、前奏曲 op.11-6,14,20、同 op.16-1,4、練習曲 op.8-11/スカルラッティ:ピアノ・ソナタK.56,K.58,K.87,K.238,K.466,K.544/ユリウス・アザル:TRANSITION I,II 他

ユリウス・アザル(ピアノ)

ユニバーサル ミュージック
UCCG-45095 ¥3080(税込)