【CD】吉松隆:チェロ協奏曲《ケンタウルス・ユニット》/ 4つの小さな夢の歌/宮田大

 ケンタウルスは半人半馬で弓矢に長ける。吉松隆はチェロと一体化するチェリストのイメージを重ね、協奏曲「ケンタウルス・ユニット」を作曲した。ケンタウルスには粗暴さと賢者の両面があるが、宮田大は後者のケンタウルスだろう。弓矢を天に向かって引くがごとく力強い音色と、繊細な表現力が同居し、刻々と変化するこの曲の壮大なサウンドスケープの天空(原田慶太楼と東響が鮮やかに描く)を駆けてゆく。2003年の作品だが、これはもはや、宮田のために書かれたチェロ協奏曲ではないか。併録の小品共々、大文字のロマンティシズムを信じる心と力量が、曲を鮮烈に蘇らせた。
文:矢澤孝樹
(ぶらあぼ2024年4月号より)

【information】
CD『吉松隆:チェロ協奏曲《ケンタウルス・ユニット》/ 4つの小さな夢の歌/宮田大』

吉松隆:チェロ協奏曲「ケンタウルス・ユニット」、4つの小さな夢の歌、ベルベット・ワルツ

宮田大(チェロ)
原田慶太楼(指揮)
東京交響楽団
ジュリアン・ジェルネ(ピアノ)

収録:2022年9月、ミューザ川崎シンフォニーホール(ライブ) 他
日本コロムビア
COCQ-85620 ¥3300(税込)