高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

エロイカで歩みだす10年目のシーズン

左:高関 健 ©上野隆文
右:南 紫音 ©Shuichi Tsunoda

 高関健が東京シティ・フィル常任指揮者に就任して10年目のシーズンを迎える。この間の楽団のめざましい進化は各所で語られている通りで、いまや技術的に万全、かつ聴衆の胸を打つような好演・名演が連続している。楽団創立50年を迎える2025年に備えて、24年度はさらなる深化をめざすシーズンとなる。

 その劈頭(へきとう)を飾る4月定期は高関が登壇し、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」を披露する。これまでも丁寧な解釈とあふれる熱気で、すばらしい「英雄」を聴かせてきた高関。このタイミングで改めて超名曲に取り組み、真正面から楽団の充実と気迫を示す。

 前半、シマノフスキのヴァイオリン協奏曲第1番を、南紫音のソロで聴けるのも期待大。20世紀ポーランドのシマノフスキは近年再評価が大きく進み、演奏機会も増加中。なかでも妖しい魅力を放つ本協奏曲は人気作となっていて、今春にも複数楽団で取り上げられる。そして、南は20世紀作品に定評がある名手で、以前には同楽団とシェーンベルクの協奏曲で共演している。この日はますます深みを増した表現で、特別な世界を作り上げてくれるだろう。

 特筆したいのは、1曲目のR.シュトラウスの楽劇《ばらの騎士》から「第1幕および第2幕より序奏とワルツ集」。ある意味では組曲以上にオペラの洒脱な魅力を味わえるかもしれない。例えば、第1幕のめくるめく序奏に続く朝食の場面、クラリネットの素朴なワルツのメロディの幸福感たるや。劇中の多彩な旋律で、華やかにシーズンの幕を開ける。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2024年3月号より)

第369回 定期演奏会 
2024.4/19(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 
https://www.cityphil.jp