【CD】G線上のアリア―ヴィルヘルミ:バロック編曲集/横島礼理

 ヴィルヘルミは第2のパガニーニと呼ばれたドイツの巨匠。NHK交響楽団第1ヴァイオリン次席・横島礼理のデビュー盤は、彼の編曲作品を集めた。「G線上のアリア」は、ポルタメントをかけた甘い音がロマンティックで美しい。ヴィルヘルミが得意としていた長い音での弓の返しも巧い。「ドイツ組曲」はヴァイオリンならではの繊細な表情づけが光ってとてもきれい。「ガヴォットとミュゼット」のミュゼットでは、原曲に無い保持音が効果的だ。「シャコンヌ」ではリズムが明確になり、運指やボウイングによってヴィルヘルミ独自の作品解釈が明らかになる。随所に新たな発見がある楽しいアルバムだ。
文:横原千史
(ぶらあぼ2024年2月号より)

【information】
CD『G線上のアリア―ヴィルヘルミ:バロック編曲集/横島礼理』

バッハ:G線上のアリア、ドイツ組曲、3つのサラバンド、ガヴォットとミュゼット、シャコンヌ/ヘンデル:「ヘンデルのラルゴ」(《セルセ》よりアリア「オンブラ・マイ・フ」)/グルック(ズガンバーティ):「グルックのメロディー」(《オルフェオとエウリディーチェ》より) 他
(以上アウグスト・ヴィルヘルミ編)

横島礼理(ヴァイオリン)
横島浩(ピアノ)

コジマ録音
ALCD-7299 ¥3300(税込)