名門コンクール優勝から昨年の京響常任指揮者就任まで、短期間で飛躍を続ける沖澤のどか。意外にもデビュー盤となる当盤は、2021年秋の読響客演時のライブ録音。まずパワフルで押し出しの強いサウンドに意表を突かれる。そしてスコアの深い読みと表現意欲に加えて、例えばヴィブラートの大きい強力なトランペット奏者がいるなら、その個性を活かす表現法とバランスを実現する柔軟性に感嘆させられる。さらにはオーケストラの能力を最大限に引き出したスリリングかつ感動的なシベリウスに圧倒され、コーダの音楽の巨きさには畏怖さえ覚える。沖澤の底知れぬ力量を体感する。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2024年2月号より)
【information】
CD『シベリウス:交響曲第2番/沖澤のどか&読響』
シベリウス:交響曲第2番
沖澤のどか(指揮)
読売日本交響楽団
収録:2021年10月、東京芸術劇場(ライブ)
日本コロムビア
COCQ-85619 ¥3300(税込)