須川展也(サクソフォン)

デビュー40周年!サクソフォンのトップランナーが故郷・浜松に凱旋

©Toru Hasumi

 クラシック・サクソフォンの魅力を伝え、その可能性を開拓してきた日本を代表するサクソフォン奏者・須川展也。1984年に東京藝術大学を卒業してプロの道を歩み始め、2024年で40周年を迎える。

 そんな記念すべきアニバーサリーイヤーに、故郷である「楽都」静岡県浜松市のアクトシティ浜松 大ホールにて「須川展也 デビュー40周年コンサート」を開催する須川に話を聞いた。

 この公演では、妻である小柳美奈子の伴奏によるソロ、サクソフォン四重奏団 トルヴェール・クヮルテットによるアンサンブル、さらには2020年まで常任指揮者を務めたヤマハ吹奏楽団による演奏、と多彩な編成で須川のサクソフォンを楽しむことができる。もちろん、吹奏楽演奏では指揮や吹き振りも披露する。須川がこれまで積み重ねてきた40年間の演奏活動の集大成となる、盛りだくさんなプログラムだ。

 「ソロでは浜松北高校吹奏楽部の先輩でもある伊藤康英さんの『ツヴァイザムカイトⅠ』、“5人で誰もが知ってるクラシックの大名曲をやっちゃおう”というコンセプトのトルヴェール・クヮルテットでは、『G線上のアリア』や、ヨハン・シュトラウスⅠ世・Ⅱ世の名曲をモティーフに石川亮太さんが作曲した『ストライク・アップ・ザ・シュトラウス』、ヤマハ吹奏楽団では『〈アラジン〉シンフォニック・メドレー』や真島俊夫さんの名曲『シーガル』などを演奏します」

 さらに、トルヴェール・クヮルテットとヤマハ吹奏楽団のコラボレーションで石川亮太作曲「日本民謡による狂詩曲」も演奏される。

 「この曲では僕は吹き振りをやります。40年間頑張ってくることができた、そのきっかけを作っていただいた我が街・浜松にお礼の気持ちを込めて、音楽の楽しさを全力でお伝えするコンサートにしたいと思っています」

 須川は浜松の中学校で吹奏楽部に在籍しているとき、音楽の授業で聴いたジョルジュ・ビゼー「アルルの女」のサクソフォンの音色に心を射抜かれた。

 「当時、日本ではクラシックサックスはほとんど知られていなくて、サックスはジャズの楽器という認識でした。でも、そのときの『アルルの女』は天から降ってくるような音で、僕もサックスでそんな美しい音を伝えたい、と思ったのがプロを目指すきっかけでした」

 そのときの初心を忘れず、40年間トップランナーとして走り続けてきた須川。今回の公演はかなりチャレンジングなものになるが、浜松に根付く「やらまいか(やってみよう)」精神で故郷のステージに臨む。

 「みなさんに楽しんでいただけるフェスティバル的な構成にしました。ぜひアクトシティ浜松に足を運んでいただけたら嬉しいです」
取材・文:オザワ部長(吹奏楽作家)
(ぶらあぼ2024年1月号より)

須川展也 デビュー40周年コンサート
2024.3/31(日)15:00 アクトシティ浜松
問:浜松市文化振興財団053-451-1114
https://www.hcf.or.jp/life/