オペラの名曲で迎えるドラマティックな新春
ウィンナ・ワルツやオペレッタの名曲で彩られたきらびやかなニューイヤー・コンサートも素敵だが、オペラ・ファンなら情熱的なアリアや愛憎うずまく二重唱を聴きながら迎えるドラマティックな新春も悪くないはず。『華麗なるオペラ・アリアの世界』こそ、そんな方々にぴったりの公演だ。オペラに定評のある東京フィルを梅田俊明が指揮し、艶やかな人気プリマと男気あふれる美声を取り揃えた豪華歌手陣が用意されているのならばなおさらだ。
ヴェルディ《椿姫》の〈乾杯の歌〉で幕を開ける第1部のメインはビゼー《カルメン》のハイライト。2009年の佐渡裕プロデュース公演でも同役を演じ絶賛されたメゾソプラノ、林美智子がタイトルロール。力強い中声域と輝かしい高音を備えたヒロイックなテノール、水口聡と共にステージで官能と情熱のドラマを繰り広げてくれることは間違いない。第2部ではオペラの粋を集めた名場面の競演。ここでは日本人ソプラノの名花、森麻季がグノーやマイアベーアなどの作品からコロラトゥーラの難役を披露。林美智子とドリーブ《ラクメ》から〈花の二重唱〉をデュエットするのも聴き逃せない。そして日本を代表するバリトン、堀内康雄がドニゼッティやロッシーニから愛のアリアを歌い上げ、水口聡とはヴェルディ《オテロ》の〈復讐の二重唱〉で盛り上げる。もちろんオペラ・ビギナーも大歓迎。歌劇を知り尽くした朝岡聡による巧みなナビゲートに導かれ、年の始めから夢の世界へ!
文:東端哲也
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年12月号から)
2015.1/7(水)19:00 サントリーホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp