精妙巧緻なパイプオルガンのしくみと音色の秘密を紐解く
パイプオルガンといえば、実際の構造や演奏法が分かりづらい西洋楽器の代表格といえるかもしれない。非常に大がかりで複雑な構造を持ち、楽器に触れる機会も極めて少ない。本公演は、2016年のバッハ国際コンクールのオルガン部門で日本人初となる第1位に輝いたオルガニスト冨田一樹がパイプの種類や音色の組み合わせ方、また、機械的制御部分について詳しくレクチャーしつつ実演するという好企画。このコンサートを通じてオルガン音楽をより身近で親しみやすいものとして体感できるようになるはずだ。
演奏曲には「小フーガ ト短調」として有名なBWV578や、無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番のフーガに基づく「前奏曲とフーガ」BWV539ほかが並ぶ。冨田は12歳のころにバッハのオルガン音楽と出会い、若きバッハゆかりの地である北ドイツのリューベックでの研鑽を経て、一貫してこの作曲家の音楽を探究してきた。ぜひ彼の渾身の演奏に耳を傾けたい。
文:近松博郎
(ぶらあぼ2024年1月号より)
2024.1/6(土)14:00 宝塚ベガ・ホール
問:オフィス・フォルテ03-6220-3367
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