クァルテット・ウィークエンド 2023—2024 クァルテット・インテグラ

着実にキャリアを積み重ねる四重奏団で聴く「3大B」

(c)Daniel Delang

 弦楽四重奏界の「3大B」。まず圧倒的なベートーヴェン、次にもちろんバルトークで文句なし。しかし、3人目のBとなると「ブラームスですよね?」といった温度差を感じる向きもあるかもしれない。たしかにブラームスは五重奏、六重奏の名曲群の印象の方が強いが、3曲の弦楽四重奏曲も徹底的に作り込まれた名品ぞろいで、彼ならではの重厚な響きの中に情熱や旋律美が盛り込まれていて、愛好するファンも多い。むしろ理想的な演奏でブラームスを聴く機会こそ、真に望まれていることだろう。

 そんな室内楽ファンが注目するべき公演が、クァルテット・インテグラの第一生命ホールでの「3大B」演奏会である。「期待の若手」という立ち位置からわずか数年で、バルトーク国際コンクール優勝、ARDミュンヘン国際音楽コンクール第2位&聴衆賞、演奏の水準も高まり続け、いまや「屈指の団体」という存在にまでなった。現在ロサンゼルスのコルバーン・スクールに、レジデンス・アーティストとして在籍しながら学び続けている彼らは、帰国の公演の度に進化・深化をみせて、かつそのとき最高の完成度の演奏を聴かせてくれるという信頼感もすでにある。

 2回目となる当公演の曲目は、「3大B」の各第2番。深く取り組み続けるベートーヴェンの初期の名品、コンクールをはじめ各所で名演を披露してきた得意のバルトーク、そして哀愁と情熱が同居したブラームス40歳の年の名作。いまのインテグラの演奏で、その真価を味わえるのは嬉しい限りだ。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2023年11月号より)

【出演者変更】
※出演を予定しておりました築地杏里(チェロ)は都合により出演できなくなりました。代わって、パク・イェウンが出演いたします。
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。(11/9主催者発表)

2024.1/27(土) 14:00 第一生命ホール 
2023.11/15(水)発売
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 
https://www.triton-arts.net