若き才能が交差する特別な一夜
注目のデュオが誕生する。2017年バルトーク国際コンクール第2位&特別賞受賞、この4月にはパシフィックフィルハーモニア東京の特別ソロコンサートマスターに就任したヴァイオリニスト髙木凜々子。台湾系アメリカ人で、2016年第6回仙台国際音楽コンクール第2位&聴衆賞を受賞したピアニスト、エヴァン・ウォン。際立った活躍をみせる二人が、トッパンホールで唯一無二のデュオを聴かせる。
構成も珍しく、まずウォンのソロで、ベートーヴェン「月光」とラヴェル「ラ・ヴァルス」。仙台コンクールの動画ではテクニックを誇示せずソノリティを追求した美音が聴けるが、7年を経てどのような深化をみせるのか。そして髙木も加わり、ラヴェル「ツィガーヌ」に続き、ヘンデル第1番とブラームス第3番という名ヴァイオリン・ソナタ2曲が奏でられる。以前彼女のリサイタルを聴いた際、古典的楽曲では温かい音で端整に構築する一方、民族的楽曲では予想以上に濃厚な演奏で驚かされた。彼らの多彩な表現で名曲の数々を楽しみたい。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2023年11月号より)
2023.11/14(火)19:00 トッパンホール
問:ヤタベ・ミュージック・アソシエイツ03-3787-5106
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