ジュリアード弦楽四重奏団 “カヴァティーナ”

名教師クァルテットが古典と現代の対比で魅せる

(c)Erin Baiano

 名門ジュリアード音楽院の教授陣によって構成されるジュリアード弦楽四重奏団が、伝統と革新をつなぐプログラムを引っ提げて5年ぶりに来日する。

 現代音楽界のスーパースター、イェルク・ヴィトマンに彼らが委嘱した弦楽四重奏曲第8番と第10番「カヴァティーナ」は、ベートーヴェンにインスピレーションを得た「ベートーヴェン・スタディ」のⅢとⅤにあたり、いずれも弦楽四重奏曲第13番と関わりがある。第8番は第4楽章のドイツ風舞曲による変奏曲を含む三楽章の作品、同じく第10番は第5楽章の美しいカヴァティーナに触発されているのだ。

 そこでプログラムは冒頭に第13番を置き、ヴィトマンの2曲へとつなげて、ベートーヴェン作品をなぞっていく。そこからもう一度、第13番の当初のフィナーレであった「大フーガ」へと時代をジャンプする。長大で当時の人々にとっては極めて難解だったこの作品が、ヴィトマン作品の後でどんな風に響くのだろうか。ジュリアードSQの妙技を通じて確かめたい。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2023年10月号より)

2023.10/20(金)19:00 紀尾井ホール
問:テレビマンユニオン03-6418-8617
https://tivc.jp

他公演
2023.10/17(火) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館(025-224-5521)
10/19(木) 兵庫県立芸術文化センター(小)(0798-68-0255)
10/22(日) 長野/飯田文化会館ホール(0265-23-3552)