赤松林太郎 ピアノリサイタル 〜音の旅Ⅱ〜 大いなる幻想を見よ

無限のパレットで彩る88鍵のファンタジー

 赤松林太郎のシリーズ「音の旅」第2弾は、「大いなる幻想を見よ」と題され、坂本龍一「andata」で開幕し、吉松隆「アイノラ叙情曲集」第1曲〈ロマンス〉、シューマン「幻想曲」、レイモンド・ルーウェンサール編曲「グリーンスリーブス」と続き、最後はリスト「ピアノ・ソナタ ロ短調」で終幕という構成。彼はリスト弾きとして世界的に知られるフランス・クリダに師事してその神髄を学んでいる。リスト作品はレパートリーの根幹に位置し、彼にとって心の糧であり、生涯の友でもあるという。長大なロ短調ソナタでどんな音楽を聴かせてくれるだろうか。

 赤松は子ども時代から管弦楽のサウンドをこよなく愛してきた。それゆえ演奏は多種多様な色合いを生み出し、ピアノがオーケストラのように鳴り響く。今回は情感豊かで幻想的な作品が組まれ、各曲が芳醇かつ深遠で多層的な音色を響かせる。彼の指が紡ぐオケを思わせる調べは聴き手の想像力を喚起し、ピアノを聴く真の歓びを与えてくれるだろう。
文:伊熊よし子
(ぶらあぼ2023年9月号より)

2023.9/14(木)19:00 東京文化会館(小)
問:Ro-Onチケット047-365-9960
https://www.rintaro-akamatsu.com