【CD】バッハ ベートーヴェン ブラームス/リチャード・トネッティ&オーストラリア室内管

 トネッティとオーストラリア室内管弦楽団の自主制作盤第1弾。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲が素晴らしい。「カヴァティーナ」はポルタメントをかけながら歌う旋律や対位法的な声部の絡みがとても美しい。「大フーガ」ではフーガのぶつけるようなエネルギーの爆発が凄まじい。それでいて精緻な書法も見事に造形される。ブラームスの交響曲は、冒頭からのびやかな歌と溌溂としたリズムが快い。緩徐楽章の弦と管のバランスの良さ、メヌエットのガット弦のしなやかな柔らかさ、終楽章のトゥッティの頂点の激しさとしみじみとした余韻を残す結びなどいずれも第一級だ。バッハも実に爽やか。
文:横原千史
(ぶらあぼ2023年9月号より)

【information】
CD『バッハ ベートーヴェン ブラームス/リチャード・トネッティ&オーストラリア室内管』

J.S.バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲/ベートーヴェン(リチャード・トネッティ編):弦楽四重奏曲 op.130より第5楽章 カヴァティーナ、「大フーガ」/ブラームス:交響曲第3番

リチャード・トネッティ(指揮/ヴァイオリン)
オーストラリア室内管弦楽団

収録:2015年8月、メルボルン&2016年5月、シドニー(ライブ) 他
ACO/東京エムプラス
ACOJP1 ¥2370(税込)