日本のハーモニカ界を牽引し続けてきた崎元讓。2022年に活動55周年を迎え、同年10月には記念公演が行われた。本盤はそのステージの模様が収められたもので、崎元の音色の多彩さ、繊細な歌の世界が存分に感じられる。プログラムには様々な国の歌やクラシック作品など幅広い楽曲が選ばれているが、とりわけ魅力的なのが長きにわたり演奏のパートナーを務め、編曲も担当しているピアニスト、美野春樹の作品。楽器の特性や崎元の演奏スタイルを深く理解した彼だからこそ作り出せる透明感のある音楽世界は、ハーモニカの可能性をさらに広げている。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2023年9月号より)
【information】
CD『ファンタスティック・ハーモニカ/崎元讓&美野春樹』
美野春樹:遅き日、ソネット〜夏の終わりに/宮前知永子:明けない夜/ベラスケス(美野春樹編):ベサメ・ムーチョ/ポンセ(美野編):エストレリータ/チャイコフスキー(美野編):秋の歌/山田耕筰(美野編):赤とんぼ 他
崎元讓(ハーモニカ)
美野春樹(ピアノ)
収録:2022年10月、東京文化会館(小)(ライブ)
カメラータ・トウキョウ
CMCD-28387 ¥3080(税込)