【SACD】A Time for Us ―歌道Ⅱ―/加耒徹

 二期会のスター・バリトン加耒徹によるアルバム第2弾は、すべて英語のテキストによる歌唱で貫かれた1枚。ロータやマンシーニ、ルグランらが名作映画のために書いた名旋律に始まり、民謡も、イタリアの歌曲作曲家トスティによる英語歌曲も、そしてミュージカルナンバー(特にラストを飾る『ジキルとハイド』からの2曲!)も素晴らしいが、やはり彼が愛してやまないイギリス芸術歌曲が圧巻。16〜17世紀の詩に20世紀初頭にクィルターが曲を付けた2曲、そしてトーマス・ハーディの上質な詩に最晩年のフィンジが作曲した6曲からなる「私は愛の神に言った」が鮮烈すぎる!
文:東端哲也
(ぶらあぼ2023年9月号より)

【information】
SACD『A Time for Us ―歌道Ⅱ―/加耒徹』

ロータ:映画『ロミオとジュリエット』より〈私たちの時〉/アイルランド民謡:ダニーボーイ/クィルター:私の生きることの喜びよ、ダマスクのバラ/フィンジ:歌曲集「私は愛の神に言った」/トスティ:私を愛して!/F.ワイルドホーン:ミュージカル『ジキルとハイド』より〈時が来た〉 他

加耒徹(バリトン)
松岡あさひ(ピアノ)

オクタヴィア・レコード
OVCL-00819 ¥3850(税込)