荘村清志 スペシャル・コンサート 2023

レジェンドの共演で魅せるクラシック・ギターの豊かな世界

荘村清志 (c)Hiromichi NOZAWA

 スペイン留学後、1969年に帰国リサイタルを開催して以来、日本のクラシック・ギター界を牽引してきた荘村清志。現在も積極的な活動を続けているが、その荘村を含め、日本のクラシック界のレジェンドが集合する「荘村清志 スペシャル・コンサート 2023」がサントリーホールで開催される。指揮の秋山和慶、ヴァイオリンの前橋汀子という強力なチームによって、聴きごたえのあるコンサートとなる。

 演奏曲目だが、まず秋山指揮、東京フィルハーモニー交響楽団によるビゼー「アルルの女」第2組曲でスタート。荘村が加わり、ギター協奏曲の最高傑作と言われるロドリーゴの「ある貴紳のための幻想曲」が演奏される。さらに前橋と荘村はデュオで、エルガー「愛の挨拶」など3曲を共演するが、ギターとヴァイオリンという珍しい組み合わせによる名曲集は、普段のコンサートとはひと味違った感動をもたらすだろう。このレジェンドふたりの共演は聴き逃せない。

 後半では名アレンジャー、大橋晃一によるこの演奏会のための編曲で、映画音楽の名作を贈る。「第三の男」「鉄道員」「ピンクパンサーのテーマ」「シェルブールの雨傘」「ロッキーのテーマ」というラインナップだが、いずれも歴史に残る映画の傑作であり、その音楽を記憶に留めているという方も多いはず。懐かしい名作を新しいアレンジで聴くというのが興味深い。

 経験と年齢を重ねても、音楽に向き合う姿勢は常に新鮮な3人による期待のコンサートの開幕である。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2023年7月号より)

2023.7/17(月・祝)14:00 サントリーホール
問:ヒラサ・オフィス03-5727-8830 
https://www.hirasaoffice06.com