安定感ある、どっしり構えたマーラーだ。小泉和裕は過剰に走らず、九響持ち前のサウンドをたっぷりと聴かせる。引き締まった響きで始まる第1楽章。しっかりとしたフォルムのなかで、それぞれの声部がソリッドに交差していく。中間部の楽章も、最近の演奏のような「遊び」はなし、じつに実直に進めていく。第4楽章では福原寿美枝の歌唱が天啓のように響く。終楽章は、起伏の大きい、壮大な音楽に。アンサンブルの集中力も高く、合唱も強弱のメリハリをつけ、精悍な運びのなかにドラマトゥルギーを宿す。黄金色を敷き詰めた、柔らかく荘厳なコーダが印象的だ。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2023年7月号より)
【information】
CD『マーラー:交響曲第2番「復活」 /小泉和裕&九州交響楽団』
マーラー:交響曲第2番「復活」
小泉和裕(指揮)
九州交響楽団
安井陽子(ソプラノ)
福原寿美枝(アルト) 他
収録:2022年10月、アクロス福岡シンフォニーホール(ライブ)
フォンテック
FOCD9880 ¥2640(税込)