【CD】吟遊詩人の調べ/上野芽実

 上野芽実にとって約5年ぶりのセカンドアルバムである本作は、充実の前作をも上回る内容か。上野の良さは、非の打ち所のない技巧に加えて、その楽曲の構成と内実を的確に抽出しうるセンス=卓越した音楽性にある。レゴンディ作品における旋律の歌わせ方の巧みさ、前半のアルペジオから後半のトレモロに至る流れの作り方の自然さと説得力、メルツの「吟遊詩人の調べ」といういわば性格小品でのキャラクターの表出力、そしてメルツ=シューベルト作品での名技と抒情性の融合など、さり気なく、しかし誠に高次元の音楽が展開されている。ギターの魅力ここに極まれり。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2023年7月号より)

【information】
CD『吟遊詩人の調べ/上野芽実』

レゴンディ:ノクターン(夢想)/メルツ:「吟遊詩人の調べ」より〈無言歌〉〈スケルツォ〉〈ロマンス〉〈愛の歌〉〈妖精の踊り〉〈カプリス〉〈マルヴィーナへ〉〈夕べの歌〉〈タランテラ〉/ギターのための6つのシューベルト歌曲(メルツ編)

上野芽実(ギター)

フォレストヒルレコーズ
FHCD-22330 ¥2750(税込)