世界的に活躍する稀少なトロンボーン・ソリストの最新アルバム。才人・挾間美帆と大御所アドラーへの各2曲の委嘱作を主体とした、オリジナリティに富んだ内容が際立つ、耳に新鮮な一枚だ。委嘱作はどれも楽器の特質を生かした聴き応えのある音楽。中でも、挾間のソナタのスタイリッシュさ、「パガニーニの主題による変奏曲」の多彩な愉しさに惹き付けられる。鮮やかなテクニックと豊潤な音色を駆使した演奏も魅力十分。ガーシュウィン等も含めて玉木のボーダーレスな名技が存分に発揮され、葵トリオで活躍する秋元孝介の美しいピアノも佳き彩りを添える。
文：柴田克彦
（ぶらあぼ2023年6月号より）
【information】
CD『橋 Bridges／玉木優＆秋元孝介』
挾間美帆：トロンボーン・ソナタ第1番、パガニーニの主題による変奏曲／S.アドラー：トゥー・サイズ・オブ・ア・コイン、日本の子守歌による変奏曲／ガーシュウィン（ザウアー編）：3つの前奏曲／菅野よう子：花は咲く
玉木優（トロンボーン）
秋元孝介（ピアノ）
妙音舎
MYCL-00022 ￥3300（税込）