【CD】リヒャルト・シュトラウス:ホルン作品集/福川伸陽

 日本を代表するホルン奏者・福川伸陽が、10代から最晩年に至るR.シュトラウスの同楽器作品を鮮やかに表現した、中身の濃い1枚。選曲と構成も1つのアルバムとして実に意味深い。福川の豊麗な音色と抜群のテクニックは言わずもがな。何より歌に充ちた節回しが魅力的だ。2つの協奏曲は、60年に達する作曲年代の違いと不変の部分を共に実感させてくれるし、珍しいホルン付きの歌曲と「月光の音楽」の美しさや、難技巧部分の滑らかさにも感嘆させられる。山下一史&愛知室内オーケストラ、ピアノの山中惇史、ソプラノの小林沙羅と揃った共演陣も濃密な好演を展開。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2023年5月号より)

【information】
CD『リヒャルト・シュトラウス:ホルン作品集/福川伸陽』

R.シュトラウス:歌劇《カプリッチオ》より間奏曲「月光の音楽」、ホルン協奏曲第1番・同第2番、序奏 主題と変奏 変ホ長調、アンダンテ ハ長調、アルプホルン

福川伸陽(ホルン)
山下一史(指揮) 愛知室内オーケストラ
小林沙羅(ソプラノ)
山中惇史(ピアノ)

キングレコード
KICC 1609 ¥3300(税込)