我々が現在一番耳にする機会の多い“平均律”ではなく、重なり合った音の響きの美しさを重視した“純正律”でアンサンブルを行っている「ニコイチヴァイオリン」。共に卓越した技術と感性を持つ齋藤真知亜、律子によるデュオである。デビュー作となる本盤には、彼らが大切にする純正律で演奏された、バッハにヴィターリからピアソラ、葉加瀬太郎まで幅広い楽曲が収められた。その音色はどこか懐かしさやあたたかさを感じさせる。二人が行っている編曲、最も心地よい響きを活かした音作りによる演奏は、耳慣れた楽曲に新たな生命を与えている。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2023年5月号より)
【information】
CD『主よ、人の望みの喜びよ/ニコイチヴァイオリン』
J.S.バッハ:シャコンヌ(齋藤真知亜/齋藤律子編)、主よ 人の望みの喜びよ(齋藤律子編)/ヴィターリ(齋藤真知亜/律子編):シャコンヌ ト短調/ピアソラ(齋藤真知亜編):タンゴの歴史より カフェ1930/葉加瀬太郎(同):情熱大陸 他
ニコイチヴァイオリン
【齋藤真知亜 齋藤律子(以上ヴァイオリン)】
マイスター・ミュージック
MM-4516 ¥3300(税込)