知的好奇心をくすぐるプログラミング
お茶の水女子大学、同大学院修了後、インディアナ大学のアレクサンドル・トラーゼのもとで研鑚を積んだ高樋純子。トラーゼは昨年急逝したジョージア(グルジア)出身の名ピアニストで、日本ではNHK放映の「スーパーピアノレッスン」の講師としてもお馴染みである。トラーゼほか、恩師らの顔ぶれからも、高樋の音楽観や音楽哲学が感じ取れる。
そして今回のリサイタルのテーマ「イマジネーションと思索の彼方へ」である。プログラムは一見するとバランス良く組まれているようだが、その実、選曲構成の奥深さたるや。J.S.バッハ(コルトー編)という深遠とロマンティシズムの妙味で開始。続くリストでは、繊細さと煌めくピアニズムの小品から、ダンテの「神曲」という巨大なテーマを持つ「ソナタ風幻想曲」。ロマン派に開花した高い技巧とポエティックな作風の極みとなるリストのあと、いよいよ思索の森へと誘うシューマンの「クライスレリアーナ」。魅惑の音楽の森へ、いざ!
文:上田弘子
(ぶらあぼ2023年4月号より)
2023.4/30(日)14:30 王子ホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
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