ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023

ゴールデンウィークのビッグイベントがついに復活!

(c)teamMiura

 待ちに待った音楽祭が帰ってくる。5月4日から6日までの3日間、東京国際フォーラムを舞台に「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023」(LFJ)が開催される。コロナ禍以来、4年ぶりの復活だ。

 短時間の公演を複数の会場で朝から夜まで集中的に開催するという音楽祭の基本スタイルは今回も健在。ただし、有料公演の会場は、東京国際フォーラムのホールA、ホールC、ホールD7の3ヵ所に限られる。有料公演の数は50公演。ほかに無料公演も予定される。

 今回の音楽祭のテーマは「Beethoven — ベートーヴェン」。本来であれば2020年にベートーヴェン生誕250年を祝うはずだったが、今回、改めて光が当てられる。「苦悩から歓喜へ」と至るベートーヴェンの音楽が、コロナ禍に打ち勝つシンボルのように響き渡る。代表作から、室内楽やピアノ連弾作品などあまり聴く機会の少ない作品、さらにはベートーヴェンにインスパイアされた後世の作曲家たちの作品が集められ、LFJらしいバラエティに富んだプログラムが組まれた。

 交響曲では日本のオーケストラが競演する。井上道義指揮、新日本フィルによる「運命」をはじめ、角田鋼亮指揮、日本センチュリー響による「英雄」、三ツ橋敬子指揮、東響による「田園」、松本宗利音指揮、東京シティ・フィルによる第7番、リオ・クオクマン指揮、神奈川フィルによる「第九」で、各オーケストラを聴き比べることができる。

 5曲のピアノ協奏曲をそれぞれ異なるピアニストが演奏するという趣向もおもしろい。第1番はジャン=フレデリック・ヌーブルジェ、第2番は福間洸太朗、第3番は亀井聖矢、第4番はアンヌ・ケフェレック、第5番「皇帝」はアブデル・ラーマン・エル=バシャと名手がそろった。

 「現代に生きる ベートーヴェン・ア・ラ・カルト」と題された公演(5/4)はLFJならでは。キルヒナー=エッセールによる2台ピアノ・8手のための「ベートーヴェン交響曲ダイジェスト」、ジョン・アダムズ(アントンセン編)の2台ピアノのための「ロール・オーヴァー・ベートーヴェン」、ベートーヴェン(福間洸太朗編)の3台ピアノ・12手のための「トルコ行進曲」という凝ったプログラムを、広瀬悦子、福間洸太朗、レミ・ジュニエ、ヌーブルジェらのピアニストたちが演奏する。

 さらに新鮮な体験になりそうなのが、ヨアキム・ホースレイ・クインテット(クラシック&ラテン音楽のフュージョン・ピアノ)による「ハバナのベートーヴェン」(5/4、5/5)や、エリプソス四重奏団によるサックス・アンサンブル版ベートーヴェン、打楽器アンサンブルのオルケスタ・ナッジ!ナッジ!による「ベートーヴェン名作交響曲たちのリズム」(5/6)など。私たちの知らないベートーヴェンが待っている。

 LFJ名物の「0歳からのコンサート」(5/5、5/6)やマスタークラス、地上広場のキオスクコンサート、屋台村も帰ってくる。久しぶりに開放的な音楽祭の気分を満喫することができそうだ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2023年4月号より)

2023.5/4(木・祝)、5/5(金・祝)、5/6(土)
東京国際フォーラム、大手町・丸の内・有楽町、東京駅、京橋、銀座、日本橋、日比谷
3/25(土)発売
問:ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023 運営委員会事務局 lfjtokyo2023@kajimotomusic.com
https://www.lfj.jp
※音楽祭の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。