ファビオ・ルイージ(指揮)

《マクベス》を最高のキャストとMETで振れるのは楽しみです

(C)Barbara Luisi

(C)Barbara Luisi

 サイトウ・キネン・フェスティバル松本の《ファルスタッフ》でオペラ指揮者としての手腕を再認識させたファビオ・ルイージ(メトロポリタン歌劇場首席指揮者・チューリッヒ歌劇場音楽監督)が、MET2014-15シーズンのオープニングに登場する。
 新シーズン、ルイージが指揮するのは、ヴェルディの《マクベス》、マスカーニの《カヴァレリア・ルスティカーナ》、レオンカヴァッロの《道化師》。
「《マクベス》は今回初めて指揮します。これまでたまたま機会がなかっただけなのですが、一番好きなオペラの一つを最初にMETで指揮できるのは楽しみです。キャストは世界最高水準ですからね。彼らとは過去にも共演したことがあり、とても協力的であり、自分のアイディアも言ってくれるので、とても仕事がしやすい。《マクベス》は、ヴェルディ初期の作品で、込み入ったストーリーですが、シェイクスピアの原作に忠実に沿ったオペラとなっています。誠実さと野心がせめぎ合う物語で、マクベスと夫人は目標を達成するために、善悪の見境なく突き進んでしまうという悲劇です。これをポイントに押さえながら指揮したいですね」
 マクベス夫人をアンナ・ネトレプコが演じるのも見どころだ。
「アンナとは、METでは2年前にマスネの《マノン》で共演しました。レコーディングではベッリーニの《カプレーティとモンテッキ》があります。彼女はとてもプロフェッショナルで、正確で、素晴らしい歌手です」
 《カヴァレリア・ルスティカーナ》と《道化師》はデイヴィッド・マクヴィカーによる新演出。
「彼とはロンドンの《アイーダ》で一緒に仕事をしたことがあるのですが、私が関わった《アイーダ》の中では最も素晴らしい舞台の一つでした。彼は言葉で語られていないことまで深く追求する演出家です。《カヴァレリア・ルスティカーナ》と《道化師》は、ヴェルディよりも新しい感性で音楽が書かれた、ヴェリズモ様式の代表作で、愛と死が大きなテーマ。激しい情熱が音楽を通して突然に表現されます。力強く観客に訴えかける作品です」
 この“2本立て”では、マルセロ・アルヴァレスが両作品で主役を歌う。
「私がこれまでに共演した中で、一人で2役を歌ったのはウィーンでのプラシド・ドミンゴだけです。マルセロとはよく知っている間柄ですが、彼は聡明で直感に冴えていて、非凡な才能を持った歌手ですから、全く心配なく2役を演じきれると思います。ご期待ください」
 ルイージが指揮する演目以外でも、METの新シーズンは注目公演が目白押しだ。音楽監督のジェームズ・レヴァインは《フィガロの結婚》と《ニュルンベルクのマイスタージンガー》を振る。昨シーズンの《ファルスタッフ》と《コジ・ファン・トゥッテ》に続く、喜劇作品である。ネトレプコはチャイコフスキーの《イオランタ》(MET初演)でもタイトル・ロールを歌う。ワレリー・ゲルギエフとの共演だ。“ベルカントの最強カップル”ともいえる、ジョイス・ディドナートとフアン・ディエゴ・フローレスが登場するロッシーニの《湖上の美人》もMET初演。トニー賞受賞演出家が手がけ、ルネ・フレミングが主演する新制作の《メリー・ウィドウ》なども楽しみ。これら極上の上演が高画質&高音質のライブビューイングで観られるのだから、オペラファンとして嬉しいことこの上ない。
取材・文:山田治生
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年10月号から)

MET ライブビューイング2014-15
11/1(土)《マクベス》より10作品を順次上映
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.shochiku.co.jp/met