88鍵×3台から放たれるエキサイティングなサウンド

2021年4月より改修工事のため休館していたシビックホールが、この1月26日に大ホールをリニューアルオープンし、豪華記念公演が続々と開催されている。ピアノ・ファンなら外せないのは、中野翔太、金子三勇士、山中惇史が3台のピアノで織りなす「トリプルピアノ」のコンサートだ。
ともに伸び盛りの30代で、キャリアも実力も申し分ない3人であるが、それぞれの個性も際立つピアニストである。中野はクラシック音楽はもちろん、難解で演奏困難な20世紀音楽やジャズまで幅広い音楽を自在に演奏する。金子は超絶技巧が際立つリスト作品のレパートリーで聴衆を魅了し続け、NHK-FMの音楽番組司会でもお馴染みだ。山中はピアノ演奏に加え作曲家・アレンジャーとしても数々のアーティストから信頼を寄せられ、飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍ぶりである。
コンサートは、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」、リストのハンガリー狂詩曲第2番、ショパンのバラード第1番など、得意の独奏曲をそれぞれ披露するほか、ミヨーの「スカラムーシュ」をデュオで、山中が編曲を手掛けるバーンスタインの「ウェストサイド・ストーリー」をトリオで華やかに聴かせるなど、バラエティに富んだエキサイティングな内容。三者とも作曲や編曲を手掛けるクリエイティブなピアニストだからこそ実現できる夢のプログラムだ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2023年3月号より)
2023.4/23(日)15:00 文京シビックホール
問:シビックチケット03-5803-1111
https://www.b-academy.jp/hall/