飯森範親(指揮)

“大阪”から“日本”へ向けた「復活」

(C)Ryo Kawasaki

(C)Ryo Kawasaki

 山形交響楽団音楽監督、東京交響楽団正指揮者を筆頭に充実した活動を続ける飯森範親。彼はこの4月から日本センチュリー交響楽団の首席指揮者にも就任した。
「今年25周年を迎えて改革への思いが強いセンチュリー響から、山響等での実績をみて一緒にやってくれないかと。彼らも大阪府から離れて数年経ち、モチベーションは逆に上がっています。優秀な若手も加わりましたし、“大阪センチュリー”から“日本”を代表する交響楽団へ向かう使命感を感じます。特に5月の『温故知新』シリーズでの、古典に対する緻密なアプローチを通して、素晴らしいオーケストラであることを実感しました」
 今年10月には、4年ぶりの東京特別演奏会を行う。演目はマーラーの交響曲第2番「復活」。今回は山響が加わり、大編成のかたちで大阪でも定期で演奏される。
「東北は復興からほど遠い状態ですし、まだ避難者も沢山おられます。また来年1月17日は阪神・淡路大震災から20周年です。ところがいずれも皆忘れかけている。関西のセンチュリー響と東北の山響が一緒に『復活』を演奏することで、首都圏や関西の方々に『まだ終わっていない』ことをアピールしたいと考えました」
 もちろん音楽も魅力だ。
「1〜5楽章にかけて復活に至る試練があり、小節ごとに表現方法が変わると言ってもいいほど、様々な側面から訴えかけてきます。そこが一番の醍醐味です」
 ソリストと合唱団も要注目。
「ソプラノの安藤赴美子さんは、声と表現力の豊かさが同世代の中でも秀でています。メゾソプラノのアンナ・クオさんは、以前ソプラノでしたが元々太い声で『復活』も十八番。合唱団は両楽団と私に縁のある3団体の合同で、中でも山響アマデウスコアの上手さは半端ではなく、佐々木正利先生の指導がまた素晴らしい」
 センチュリー響で彼は、古楽奏法を用いて18世紀以前の音楽も深めようとしている。
「弓や腕の使い方等々に細かく取り組んでいます。これによって音が全く変わり、マーラーを演奏する際にも生きてきます。ビブラートは最小限にし、右手の動きを重要視すると、ビブラートをかけたときのふくよかさや表現力が明らかに違う。そうして全員がきちんと弾けば少人数でも問題ないので、25周年記念公演等ではマーラーの5番を単独で演奏しますし、『復活』はこうした奏法に長く取り組んできた山響との合同ですから、奏者同士の刺激も含めて大きな効果があるでしょう」
 さらには、「営業や顧客のリサーチにも力を入れながら、聴衆拡大に向けたプロジェクトを積極的に推し進めるべく動き始めています。秋には面白い発表ができると思います」との由。全てが前向きな飯森&センチュリー響から今後目を離せない。
取材・文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年7月号から)

日本センチュリー交響楽団 東京特別演奏会
10/19(日)15:00 サントリーホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 
http://www.japanarts.co.jp