世界が注目する新鋭たちが待望のKCO初登場
紀尾井ホール室内管弦楽団(KCO)第133回定期演奏会は、指揮にフランスの俊英マクシム・パスカルを迎える。1985年生まれの37歳。パリ音楽院で作曲を学び、指揮はフランソワ=グザヴィエ・ロトに師事した。20世紀や同時代の音楽にも積極的で、今もパリでシュトックハウゼンのオペラ《光》シリーズが進行中だ。日本では2019年の東京二期会《金閣寺》で注目を集め、21年《ルル》に再登場、読売日本交響楽団やオーケストラ・アンサンブル金沢等にも客演している。
KCOデビューとなる今回は、両者の個性が発揮されるプログラムとなった。まずはフォーレ最晩年の管弦楽組曲「マスクとベルガマスク」と「パヴァーヌ」を組み合わせ、フォーレの美しい旋律と和声に繊細なタクトでフォーカスする。ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番では、同じくKCO初登場のニコラ・アルトシュテットが独奏を務める。美しい音色と高い技巧、豊かな表現力を備え、ハイドン・フィルハーモニックの芸術監督・指揮者としても発想力に富む演奏で世界が注目する。ロストロポーヴィチのために書かれた強烈な難曲に2人がどのようにアプローチするのか楽しみだ。
後半はベートーヴェンの交響曲第4番。2019年に筆者がインタビューした際、マエストロは寝癖がついた髪のままコーヒー片手にふらりと現れた。その姿は素朴で自然体。ベートーヴェンでも気負わず、長い腕を大きく振って細やかな指示を出す姿が目に浮かぶ。軽快さや洒脱さはお手の物。KCOとの相性も抜群のはずだ。
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2023年1月号より)
2023.2/10(金)19:00、2/11(土・祝)14:00 紀尾井ホール
問:紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp
https://kioihall.jp