目先の仕事に追われる日々から解放される年末年始の休暇は、クラシックにどっぷりと浸かるのに最適な時間。というわけで、編集部おすすめの無料動画をまとめました。大掃除が終わったらクラシックとともにほっと一息つきませんか?
フライブルク・バロック・オーケストラ
ジャン・ロンドー(チェンバロ) カール・カイザー(フラウト・トラヴェルソ) ジュゼップ・ドメネク(オーボエ) ベアトリクス・ヒュルゼマン(ヴァイオリン)
ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(ヴァイオリン/指揮) フライブルク・バロック・オーケストラ
Jean Rondeau, Cembalo/ Karl Kaiser, Flöte / Josep Domènech, Oboe / Beatrix Hülsemann, Violine
Gottfried von der Goltz, Violine & Leitung Freiburger Barockorchester
Johann Sebastian Bach: Sinfonia zu „Falsche Welt, dir trau ich nicht“ BWV52
Johann Sebastian Bach: Cembalokonzert d-Moll BWV1052
Tomaso Albinoni: Triosonate B-Dur Nr.12 Op.1-12
Alessandro Marcello: Oboekonzert d-Moll
Johann Sebastian Bach: Sinfonia zu „Ich liebe den Höchsten von ganzem Gemüte“ BWV174
Antonio Vivaldi: Concerto grosso Nr.11 d-Moll RV565
Johann Sebastian Bach: Tripelkonzert a-Moll BWV1044
ソリストにチェンバロのジャン・ロンドーらを迎え、2022年3月1日にコンツェルトハウス・フライブルクで行われたフライブルク・バロック・オーケストラの公演「Behind Bach」から。第2楽章が有名なマルチェロのオーボエ協奏曲は、バロック・オーボエのややくぐもった柔らかな音色で聴くと魅力倍増。ジャン・ロンドーは、ぶらあぼONLINEの対談企画でも、音が減衰する撥弦楽器で歌うことについて語っていたが、まさにその話を実感させる緩徐楽章での歌いっぷり。
ラルス・フォークト&パリ室内管弦楽団
ラルス・フォークト(ピアノ/指揮) パリ室内管弦楽団
Lars Vogt & Orchestre de chambre de Paris
Schumann: Concerto pour piano
2022年9月に亡くなったラルス・フォークトが、シューマンのピアノ協奏曲を弾き振りした公演。フォークトの語りかけるような演奏が、音楽監督を務めていたパリ室内管にも波及し、一体感が素晴らしい。この公演の少し前に癌を宣告されていたフォークト。生命力みなぎるステージからは、感じるものも多いはず。
闘病のなかでブラームスの音楽に慰められたと語る生前最後のインタビュー(亡くなる約1ヶ月前に収録)も胸を打つ。
エルザ・ドライジグ 〜ロワイヨモン音楽祭2022
エルザ・ドライジグ(ソプラノ)&ロマン・ルヴォー(ピアノ)
Elsa Dreisig, soprano
Romain Louveau, piano
Rita Strohl: Bilitis, poème en 12 chants
Claude Debussy: Trois chansons de Bilitis et L’Isle joyeuse
Louis Vierne: Quatre poèmes grecs opus 60, Spleens et détresse opus 38
Francis Poulenc: Trois poèmes de Louise de Vilmorin
György Ligeti: Etudes pour piano
Charles Gounod: Ô ma lyre immortelle, Air de Sapho
Maurice Ravel: Un grand sommeil noir
Henri Duparc: La vie antérieure
Angélique Ionatos: Astéron Panton o kallistos, Anthe Amerghissan
収録:2022年9月17日
1991年生まれ、フランスのソプラノ、エルザ・ドライジグが、9月17日、ロワイヨモン音楽祭でおこなったフランス歌曲の夕べ。ヨーロッパの主要歌劇場からひっぱりだこ、ベルリン・フィルやウィーン・フィルと共演も果たし、若手筆頭格ともいうべき彼女の繊細で豊かな表現力に、冒頭から引き込まれること必至。ドビュッシー、グノー、ラヴェル、デュパルクらの歌曲のほか、演奏機会の少ないリタ・シュトロールの〈ビリティス〉など珍しい作品も。
ソルスベルグ音楽祭 2021より
バイバ・スクリデ、イリアン・ガーネット(以上ヴァイオリン)
ニルス・メンケマイヤー、アドリアン・ラ・マルカ(以上ヴィオラ)
ソル・ガベッタ、アストリグ・シラノシアン(以上チェロ)
Baiba Skride, Ilian Gârnet, violins
Nils Mönkemeyer, Adrien La Marca, violas
Sol Gabetta, Astrig Siranossian, violoncellos
Pyotr Ilyich Tchaikovsky: Souvenir de Florence op. 70
アルゼンチン出身の世界的チェリスト、ソル・ガベッタが創設したソルスベルグ音楽祭の2021年5月の公演から。バイバ・スクリデ(ヴァイオリン)、ニルス・メンケマイヤー(ヴィオラ)ら同世代の世界一流のメンバーが奏でる「フィレンツェの思い出」が素晴らしいのは言わずもがな。ソルスベルグ修道院の装飾も美しい。
ホセ・マリア・ブルメンシェイン 村上淳一郎
ユッカ=ペッカ・サラステ&ケルン放送交響楽団
ユッカ=ペッカ・サラステ(指揮) ケルン放送交響楽団
ホセ・マリア・ブルメンシェイン(ヴァイオリン) 村上淳一郎(ヴィオラ)
Jukka-Pekka Saraste & WDR Sinfonieorchester
José Maria Blumenschein, violin / Junichiro Murakami, viola
Wolfgang Amadeus Mozart: Sinfonia Concertante in E flat major K.364
2021年10月からN響の首席ヴィオラ奏者を務める村上淳一郎が、前任のケルン放送響時代の2013年11月、同僚のコンサートマスター、ホセ・マリア・ブルメンシェインと共演したモーツァルトの協奏交響曲 変ホ長調。ヴィオラという楽器がこんなにも温かく、幅広く、豊かに歌える楽器だったことに気付かせてくれる。笑顔をみせながら演奏する姿は、見ているだけでも楽しくなる。
佐藤俊介&オランダバッハ協会
佐藤俊介(ヴァイオリン) オランダバッハ協会
Shunske Sato & Netherlands Bach Society
Johann Sebastian Bach: Violin Concerto in E major BWV1042
2015 年5月にアムステルダムのフェリックス・メリティスで収録されたオランダバッハ協会の演奏。同協会の芸術監督を務める佐藤俊介は、22/23シーズンをもって監督からの退任が発表されたばかり。協会のYouTubeチャンネルでは、ソロから弾き振りまで、佐藤の様々なバッハの解釈を聴くことができる。この動画でも生気みなぎる弾き振りと、バロックの概念にとらわれない自由な音楽が印象的。演奏者の目配りを逃さないカメラワークにも注目。
ジェズアルド・シックス(G6)
ジェズアルド・シックス(声楽アンサンブル)
The Gesualdo Six
Cristóbal de Morales: Communio from Missa pro defunctis “Lux aeterna”
2014年創設、ルネサンス末期の作曲家カルロ・ジェズアルドの名を冠し、アカペラのポリフォニーを得意とするイギリスの声楽アンサンブル。この動画は、スペイン・ルネサンス最高の作曲家モラレスのレクイエムからコンムニオ(聖体拝領唱)“Lux aeterna”。緻密な声部の絡みが美しい。このほか、ウィグモア・ホールでのライブもおすすめ。2024年11月に来日予定だそうなので、ぜひ注目を。
テオドール・クルレンツィス&SWR放送交響楽団
アレクサンドル・カントロフ
Teodor Currentzis & SWR Symphonieorchester
Alexandre Kantorow, Klavier
Olivier Messiaen: Les offrandes oubliées,
Sinfonische Meditation
Johannes Brahms: Klavierkonzert Nr. 2 B-Dur op. 83
Johannes Brahms: „Immer leiser wird mein Schlummer“, aus: Fünf Lieder op. 105
Igor Strawinsky: Feuervogel – Finale (Zugabe Alexandre Kantorow)
Franz Liszt: Sonetto 104 del Petrarca (Zugabe Alexandre Kantorow)
Malin Bång: splinters of ebullient rebellion für Orchester
収録:2022年1月21日
2022年夏に来日し名演を聴かせたアレクサンドル・カントロフが、ヴァディム・ホロデンコの代役でクルレンツィス&SWR放送響と共演した公演。スウェーデンの女性作曲家マーリン・ボングとメシアンの間にブラームスのピアノ協奏曲を挟むというクルレンツィスらしいプログラム。カントロフはアンコールに、日本でも演奏したリスト「ペトラルカのソネット第104番」やストラヴィンスキー「火の鳥」終曲を披露。クルレンツィスの2023/2024シーズンでの首席指揮者退任が惜しまれるばかり。