クァルテット・ウィークエンド 2022-2023 クァルテット・インテグラ

勢いに乗る若手筆頭四重奏団が「3大B」シリーズを始動

左より:山本一輝、三澤響果、菊野凜太郎、築地杏里

 近年最も勢いのあるアーティストといえば、筆頭候補にあがるのはクァルテット・インテグラではないだろうか。桐朋学園在学中の2015年結成の若い団体ながら、早い段階で頭角を現して評判になり、昨年秋のバルトーク国際コンクール制覇で一気に知名度を拡大。大晦日恒例のベートーヴェン弦楽四重奏曲演奏会に抜擢されて絶賛を博し、リサイタル公演も成功を重ねた。そして今年のARDミュンヘン国際音楽コンクール第2位と聴衆賞の受賞は決定的な快挙で、世界最難関コンクールで物怖じせずにアグレッシブかつ完璧な演奏を披露し、会場に加えて配信でも世界中の聴衆を湧かせたのである。いまやどの公演もチケット入手が難しい人気ぶりだが、コンクール後(10月)にはヴィオラとチェロの配置を入れ替えてみるなど、日々探究と進歩を重ねているのも見逃せない。

 そんな彼らが23年1月から第一生命ホールでシリーズ公演を始動させる。3年でベートーヴェン、バルトーク、ブラームス——クァルテットの「3大B」というべき3人の弦楽四重奏曲第1番から第3番までを取り上げるプログラムで、初回は3つの第1番。生涯弾き続けたいというベートーヴェン、要所で名演を実現してきたバルトークへの期待はもちろんのこと、メインにブラームスを置いたのも注目で、渋さや重厚さの表現で唸らせるのか、そんな固定概念を軽々と覆すのか。いまのインテグラならどんな演奏でも実現できそうで、当日何が起きるのか、とにかく会場で体験したい。
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年12月号より)

2023.1/28(土)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 
https://www.triton-arts.net