鈴木優人(指揮) 読売日本交響楽団「第九」

八面六臂の活躍をするマエストロが信頼を寄せる歌手陣と描く人類愛

 今年の読売日本交響楽団の「第九」を指揮するのは、2020年から同楽団の指揮者/クリエイティヴ・パートナーを務める鈴木優人。バッハ・コレギウム・ジャパンの首席指揮者を兼務する彼は、オルガン、チェンバロ、ピアノなど鍵盤楽器の演奏にも長け、とりわけバッハから、モーツァルト、ベートーヴェンに至る古楽のアプローチに精通している。今年はグルックのオペラ《オルフェオとエウリディーチェ》を振って、新国立劇場にもデビュー。そんな彼が、ベートーヴェンの「第九」を指揮するのだから、まさに興味津々である。

 独唱陣も、ソプラノのキャロリン・サンプソン、メゾソプラノのオリヴィア・フェアミューレン、テノールの櫻田亮、バスのクリスティアン・イムラーら、バッハ・コレギウム・ジャパンの常連ともいえる歌手たちが招かれ、国際的にも評価の高い新国立劇場合唱団、そしてパートナーである読響とともに、鈴木の理想とする「第九」が実現されるに違いない。

 2020年から続く新型コロナウイルス感染症によるディスタンスや、今年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻による分断を、少しでも乗り越えるためにも、今年は人類愛を歌い上げるベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」を、古楽から現代音楽まで様々なジャンルで大活躍の若きマエストロ、鈴木優人と読響の演奏で聴きたいものである。そのほか、東京と横浜の演奏会では前半に、鈴木による15分ほどのオルガン演奏も披露される。こちらも楽しみだ。
文:山田治生
(ぶらあぼ2022年12月号より)

2022.12/16(金)19:00、12/17(土)14:00、12/18(日)14:00
東京芸術劇場 コンサートホール
12/20(火)、12/21(水)各日19:00 サントリーホール
12/22(木)19:00 大阪/フェスティバルホール
12/25(日)14:00 横浜みなとみらいホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390 
https://yomikyo.or.jp