Duo deux fleurs(ヴァイオリン・デュオ)

姉妹の絆がつむぐ、オンリーワンの響き

左:中村ゆか里 右:中村里奈 (c)島崎信一

 Duo deux fleurs(デュオ・ドゥ・フルール)は中村ゆか里と中村里奈の姉妹によるヴァイオリン・デュオ。姉のゆか里がパリ国立高等音楽院を卒業して日本に帰国した2011年に、東京藝術大学に在学中だった妹の里奈に声をかけて結成された。

ゆか里 「私も妹も、それまでは一緒に演奏するなんて考えてもいませんでしたが、パリで室内楽のディプロムを取ったときに習っていた先生が『妹とデュオをやればいいじゃない』と卒業間際に言ってくださったんです。そのときはあまりピンとこなかったのですが、こうして約10年もデュオを続けていると、先生の言葉は大きかったなとあらためて感じます」

里奈 「姉からデュオに誘われたとき、私は大学を休学して、ヴァイオリンと距離を置いていた時期でした。本当は退学も考えていたのですが、そんな私を姉は一生懸命こちらに引き戻してくれて。最初は乗り気ではなかったのですが、結局、復学して音楽の道に戻ることに」

 仲睦まじく話すふたりの姿からも、それぞれの個性を打ち出しながら、自然と息の合った演奏をするDuo deux fleursならではの魅力が伝わってくる。

里奈「私たちにとっては、室内楽やアンサンブルをやっているという感覚がないんです。一緒に話したり、一緒に料理をしたりする延長線上にある日常というか」

ゆか里「自分たちではわからないのですが、普段のちょっとした仕草や行動、癖などがすごく似ているらしくて。そういうところは、やはりヴァイオリンの弾き方や息遣いにも出ているのではないかと」

 そんなふたりにとってはじめてのCDが12月7日にリリースされる。ジョン・ウィリアムズ「シンドラーのリスト」、サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」、ショスタコーヴィチ「5つの小品」、ヴィヴァルディ「四季」など、コンサートで演奏してきた十八番を凝縮した一枚だ。ピアノは浜野与志男。

里奈「ヴァイオリン・デュオのためのレパートリーは多くないので、聴きどころをハイライトにした『四季』をはじめ、オリジナルの編曲の妙を楽しんでいただければと思います。収録曲の多くは、私たちの古くからの仲間で、アニメーションやTV番組のテーマ曲なども手がける高木文世さんに編曲していただきました」

ゆか里「ヴァイオリン同士だと音域が同じなので難しさもあるのですが、同じ音域だからこそのハモりの美しさは魅力だと思うので、ぜひお聴きいただきたいです」

 12月3日にめぐろパーシモンホール小ホールで開催されるクリスマス・コンサートでは、チェロの菊川真、ピアノの小田裕之との共演で収録曲を中心に披露され、CDも先行発売されるとのこと。そちらも楽しみだ。
取材・文:原典子
(ぶらあぼ2022年12月号より)

Duo deux fleurs クリスマス・コンサート【配信あり】
2022.12/3(土)14:00
めぐろパーシモンホール(小)
問:フロレスタン03-6457-4695
http://www.florestan.co.jp

CD『Harmonie』
日本ウエストミンスター
XQNW-1006
¥3000(税込)
2022.12/7(水)発売