パーヴォ・ヤルヴィ(指揮) ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団

ハイドン特有のウィットとベートーヴェンの革新性を鮮やかに映し出す

パーヴォ・ヤルヴィ (c)Kaupo Kikkas

 楽しみなコンビが東京オペラシティに帰ってくる。パーヴォ・ヤルヴィとドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団がこの12月、2種類のプログラムを披露する。

 パーヴォ・ヤルヴィがドイツ・カンマーフィルの芸術監督に就任したのは2004年のこと。すでにこのコンビが18年にわたって続いていることに改めて感嘆せずにはいられない。両者による最初の大きなプロジェクトはベートーヴェンの交響曲全曲シリーズだった。いわゆるHIP(歴史的情報に基づく演奏)なスタイルを取り入れながら、パーヴォ一流の切れ味のある鮮烈なサウンドを実現したベートーヴェンは、演奏会とレコーディングの両方を通じて大きなインパクトをもたらした。以来、このコンビは当初の情熱を失うことなく、意欲的な活動を続けている。

 今回の来日公演では、パーヴォとドイツ・カンマーフィルにとっての中核的なレパートリーともいえるハイドンとベートーヴェンがとりあげられる。一日目はハイドン・プログラムで、交響曲第102番、同第96番「奇跡」、同第104番「ロンドン」の3曲が演奏される。巨匠が最後に到達した古典派交響曲の金字塔というべき「ロンドン・セット」の傑作がそろった。ハイドンならではの躍動感とユーモアを存分に伝えてくれるだろう。二日目はベートーヴェン・プログラムで「コリオラン」序曲、交響曲第8番、同第3番「英雄」の3曲が並ぶ。どれだけベートーヴェンの音楽が型破りでエキサイティングなのか、彼らほど雄弁に伝えてくれる楽団はいない。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2022年11月号より)

2022.12/8(木)、12/9(金)各日19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 
https://www.operacity.jp