シリーズ最終回は信頼寄せる名手と紡ぐブラームスと権代作品
名実ともに日本を代表するピアニスト、小山実稚恵が第一生命ホールで開催してきたシリーズ「小山実稚恵の室内楽 〜ブラームス、熱く深い想いをつなげて」。その第6回「小山実稚恵&川本嘉子 ピアノ&ヴィオラ・デュオⅢ」が今年12月に開かれる。2018年9月にスタートした同シリーズが、今回でいよいよ最終回を迎えることになった。
このシリーズではブラームスの室内楽曲を中心に、小山がさまざまな演奏家たちと共演を重ねてきた。最終回では名ヴィオラ奏者、川本嘉子と3度目の共演を果たす。全6回中3回がヴィオラとの共演という「ヴィオラ密度」の高いシリーズとなったのは、ブラームスがヴィオラのための大傑作を残していることの反映でもあり、ふたりの奏者が互いに抱く信頼と共感のあらわれでもあるだろう。
今回はヴィオラ・ソナタ第1番と同第2番に権代敦彦の「無言のコラール集 〜ヴィオラとピアノのための〜」を加えたプログラムが披露される。ブラームスの2曲のヴィオラ・ソナタはそれぞれシリーズの過去の演奏会でも同じコンビによりとりあげられているが、改めて両曲がセットで演奏される機会となった。共演を重ねて到達した円熟味豊かなブラームスを披露してくれることだろう。
権代の作品はブラームスにインスピレーションを得てふたりのために書き下ろした作品で、今回が東京初演。名曲に新作が加わることで、一段と新鮮な気持ちでデュオを聴く喜びを味わえそうだ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2022年10月号より)
2022.12/3(土)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
https://www.triton-arts.net