波立裕矢「失われたイノセンスを追う。Ⅱ オーケストラのための」が第32回 芥川也寸志サントリー作曲賞を受賞

 サントリーホール サマーフェスティバルの一環として、8月27日、第32回 芥川也寸志サントリー作曲賞(旧名:芥川作曲賞)の公開選考がサントリーホールにて行われ、波立裕矢(はりゅう・ゆうや)の「失われたイノセンスを追う。Ⅱ オーケストラのための」が受賞作品に選ばれた。波立は2020年の日本音楽コンクール作曲部門でも第1位に選ばれるなど、注目の若手作曲家のひとり。今回は、マーラーの交響曲第1番「巨人」に材をとった当作が高い評価を受けた。

授賞式より 撮影:飯田耕治 写真提供:サントリーホール

 芥川也寸志サントリー作曲賞は、1990年に故・芥川也寸志の功績を記念して、サントリー音楽財団(現・公益財団法人サントリー芸術財団)が創設。日本人新進作曲家の管弦楽作品を対象にして、演奏会形式、公開選考によって審査される。

 受賞した波立には、サントリー芸術財団代表理事 堤剛より、賞状と賞金150万円が贈られたほか、新しいオーケストラ作品が委嘱され、2年後に同財団主催のコンサートで初演が行われる。今回の選考会に先立っては、第30回受賞作曲家・小野田健太の「綺羅星 2台ピアノとオーケストラのための」の世界初演も行われた。

波立裕矢 写真提供:サントリー芸術財団

◇波立裕矢(はりゅう・ゆうや)
〈贈賞理由〉
豊かな発想を、精緻なオーケストレーションと巧みな引用手法を用いて音響化した優れた作品であることを高く評価された。

〈略歴〉
1995年生まれ。2018年愛知県立芸術大学卒業。2021年東京藝術大学大学院修士課程作曲専攻修了。第35回現音作曲新人賞受賞。第89回日本音楽コンクール作曲部門1位。これまでに作曲を鈴木純明、小崎光洋、山本裕之、久留智之の各氏に師事。作曲の会「たんぽぽ」共同代表。


今年のノミネートは以下の3作品。

◆大畑眞:『ジンク』(2021)
初演/2021年5月28日 東京芸術大学奏楽堂
藝大定期 第404回 藝大フィルハーモニア管弦楽団定期 新卒業生紹介演奏会

◆根岸宏輔:『雲隠れにし 夜半の月影』オーケストラのための(2020)
初演/2021年5月30日 東京オペラシティ コンサートホール
2021年度 武満徹作曲賞 本選演奏会

◆波立裕矢:『失われたイノセンスを追う。Ⅱ 』オーケストラのための(2020〜21)
初演/2021年6月4日 東京藝術大学奏楽堂
藝大現代音楽の夕べ「創造の杜  2021」

 2022年3月7日に行われたオンライン選考会の結果、以上の3曲が第32回 芥川也寸志作曲賞の候補に選定され、8月27日に実施された公開選考では、演奏を杉山洋一指揮 新日本フィル、司会を沼野雄司が務め、酒井健治、福士則夫、山根明季子の3名が審査にあたった。

芥川也寸志サントリー作曲賞
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