第526回日経ミューズサロン タカーチ弦楽四重奏団

半世紀近くの歴史を経てアップデートし続けるサウンド

 タカーチ弦楽四重奏団が3年ぶりの来日を果たす。1975年ハンガリーで結成、現在はアメリカを拠点とする、屈指の歴史と実力を誇るクァルテットで、世界中で根強い人気を誇っている。活動半世紀の節目も視野に入るが、チェロのアンドラーシュ・フェイェールは結成以来不動の存在として現在も支え続け、93年から第1ヴァイオリンを務めるエドワード・ドゥシンベルは唯一無二の伸びやかな美音でリードしている。2020年にヴィオラが交代してからは初来日であり、47年目の“新生”タカーチを体験できる。

 日経ミューズサロンでは、ハイドン第82番「雲が行くまで待とう」、ラヴェル、シューベルト第14番「死と乙女」の3曲が並び、弦楽四重奏曲の精髄ともいえる名作群を堪能できる。なかでもいまの彼らのラヴェルは、どんな演奏になるか予想がつかない。ここでしか味わえない体験になりそうで楽しみだし、「死と乙女」はタカーチが受け継ぐ“弦楽四重奏の伝統”の重みを知る時間になるだろう。
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年9月号より)

2022.9/28(水)18:30 日経ホール
問:日経公演事務局03-5227-4227
https://stage.exhn.jp