東京音楽コンクール入賞者が揃う、ビギナーから楽しめるオペラ
2004年にスタートした「東京文化会館オペラBOX」は、オペラの名作を小ホールという親密な空間で楽しめる人気企画。今年は、ラヴェルの1幕作品《子供と魔法》を岩田達宗の演出で上演する。登場人物が多く、またバレエのシーンがあるためか、日本ではなかなか舞台上演に接する機会のない作品だ。母親に怒られた男の子がかんしゃくを起こして、家にあるポットやカップを割ったり、壁紙を剥がしたり、猫に悪戯をしたりすると、道具や動物たちが動き出して子どもを懲らしめる。しかし、傷ついたリスの手当てをしてやるのを見て「彼はいい子だ」と去っていく、というファンタジックな物語。
今回のキャストには東京音楽コンクールの歴代入賞者が集結。タイトルロールの子供を歌うメゾソプラノの富岡明子(第1回)のほか、ソプラノの盛田麻央(第12回)、中江早希(第11回)、テノールの小堀勇介(第16回)など、今をときめく若手歌手たちが登場する贅沢な舞台となりそうだ。
当日は2部構成で、第1部では指揮の柴田真郁と演出の岩田が、朝岡聡のナビゲートのもとプレトークを展開。ここでは黒岩航紀(第11回ピアノ部門第1位)が、ラヴェルと縁の深いフォーレ、ドビュッシーの作品を演奏。時代背景などとともに作品の魅力を深掘りする。また関連企画として、子どもや若者を対象とした「オペラをつくろう!」と題する3つのオペラ・ワークショップも予定されている。
文:室田尚子
(ぶらあぼ2022年8月号より)
2022.9/25(日)15:00 東京文化会館(小)
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
https://www.t-bunka.jp