【CD】斎藤雅広 ザ・ヴィルトゥオーゾ!

 昨年急逝したピアニスト、斎藤雅広の最晩年の録音。ショパンにスクリャービン、フォーレ、ベートーヴェンなどが収められており、近年さらにレパートリーを拡大し、その技術とセンスを最大限に発揮していた斎藤の魅力が詰まった一枚となっている。輝かしい音色、タッチの多彩さ、いきいきとしたリズム感が存分に活かされており、一音聴いた瞬間に魅了されるほど圧倒的な世界観を創り出している。まさに「ヴィルトゥオーゾ」と呼ぶにふさわしい存在だということを改めて実感する内容だ。一方で、ベートーヴェンの「田園」ソナタのあたたかく包み込まれるような音楽にも注目したい。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2022年8月号より)

【information】
CD『斎藤雅広 ザ・ヴィルトゥオーゾ!』

ショパン:バラード第4番/スクリャービン:ピアノ・ソナタ第4番/フォーレ:ヴァルス・カプリース第4番/シューマン:6つの間奏曲 op.4/ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第15番「田園」

斎藤雅広(ピアノ)

ナミ・レコード
WWCC-7968 ¥2750(税込)