各界からの豪華な顔ぶれが集結
オペラより7曲、バレエより4作品をはじめ、さらに全員が揃う1場面も予定しているという『オーチャードホール25周年ガラ』。総合監修の熊川哲也は「人生における25年は短くないが、劇場としては、地に足をつけ、前を向き始めたところ。さらなる高みに向けて、アーティスト同士で力を合わせ、日本人の民度の高さを再確認したい」と意気込む。
オペラ歌手の幸田浩子、森麻季、錦織健の歌や東京二期会と藤原歌劇団の合唱、広上淳一の指揮など、見どころ・聴きどころは多いが、大きな話題の一つに、7年ぶりに熊川と吉田都が共演するローラン・プティ振付『アルルの女』が挙げられるだろう。熊川は「共演にあたり、2人とも踊ったことのない作品に意味を見出した」と言う。プティ作品を踊ること自体が初めての吉田も「プティは私のタイプとは違う振付家。慣れ親しんだ古典ではなく、初めての作品を熊川さんと踊ることで、スペシャルな化学反応が生まれるのではないか」とうなずいた。
また、演目は未定ながら、海外で活躍してきた堀内元と中村かおりの登場も注目される。キャスティングの理由を熊川は「僕は“一流”という言葉が大好きで、常に襟を正し、その仲間であろうとしています。そして、日本人で初めてニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパルに上り詰め、バランシン最後の弟子と言われる堀内元さんと、86年のローザンヌ国際バレエコンクールで赤いカツラをかぶってセンセーショナルに踊った中村かおりさんの2人は、僕の中で経歴・実績ともにまさしく一流」とする。スクール・オブ・アメリカン・バレエ出身の堀内&中村と、英国ロイヤル・バレエ学校出身の吉田&熊川の対比も楽しめそうだ。
オーチャードホールに対する思いを「ポップカルチャーとハイカルチャーが融合する恵まれた立地にある素晴らしい劇場。10周年記念公演の時、ローラン・プティがこのホールと僕のために『ボレロ』を振り付けてくださったのは思い出深い」(熊川)、「振り返ると、この舞台には随分と立たせていただいた。人々が集まる場所に劇場があるのは素晴らしいこと。長く続けていただきたい」(吉田)、また指揮者の広上は、「オーケストラピットから音が響き、空間で一度バウンドして客席に届く独特の音響を持ち、キャパシティも大きく、舞台ものに寛容なホール。娘が生まれたときに本番を務めていたのも、日本へ戻ってきて1年間休暇した後に再デビューさせていただいたのも、オペラのデビューをしたのも、ここ」と、それぞれに語った。各出演者の思いが結実した、忘れられないガラとなるだろう。
取材・文:高橋彩子
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年7月号から)
9/3(水)18:30、9/4(木)18:30 Bunkamuraオーチャードホール
問:Bunkamuraチケットセンター 03-3477-9999
http://www.bunkamura.co.jp